1 江西省南昌市

中国内陸部にある江西省

 

江西省は、江蘇省・上海市・浙江省など経済的大発展をしている臨海地方より内陸部にある省である。江西師範大学に赴任するまで、私は江西省のことには全く無知であった。しかし、陶器の名産地「景徳鎮」、中国一美しい村「婺源」、三国志時代に呉の将軍周瑜の水軍訓練基地だった「鄱陽湖」、仏教寺院の多い名山「廬山」、省の北辺で長江に臨み詩人陶淵明の出身地である「九江」、吉田松陰に思想的影響を与えた南宋末の愛国者文天祥の出身地「吉安」などなど、歴史と文化が息づく魅力のある省だった。また、省都「南昌市」は共産党がはじめて武力蜂起した『八一起義』の地としても有名である。

広大なキャンパスの江西師範大学

 

私は、過去の二大学へはインターネットの求人広告に応募して採用された。しかし、江西師範大学へは南昌市の事情に詳しく、たまたま知り合った親切な日本人教師の斡旋で採用された。学生数三万人を擁するこの国立大学も他の大学と同様に旧キャンパスは市内に、新キャンパスは郊外にあった。私と日本語科の学生の宿舎は瑤湖畔の広大な新キャンパスにあり、その中を日本の公道に匹敵する片道二車線のゆったりした私道が何処までも延びている。そしてキャンパスの中央正面には書の国にふさわしい図書館が堂々と翼を広げるようにあった。

 

 私はこの大学に3年間勤めることになる。日本語科の学生は学習意欲が旺盛で教え甲斐があったので、事情が許せば、健康なうちは、ここで教師を続けたいと思ったほどである。

 

日本語科の一学年あたりの学生数は40~50人で、二クラスに分かれて授業を受ける。日本語会話の授業は私と同僚の藤原先生と二人で、12年生を週に2回(一回当たり2コマ【50分X2】)教えることになっている。

 

 師範大で中国滞在46年目となり、この間中国でもパソコンが急速に普及し、3年生ぐらいになると、学生の半数がパソコンを持つようになってきた。したがって、私の作文授業でも、パソコンとEメールによる作文と添削の情報交換がいっそう円滑にできるようになった。

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